PMS(月経前症候群)とは？
PMS（月経前症候群）とは、生理前の3〜10日間に起こる身体的・精神的な不調のことを指します。多くの女性が経験し、症状の種類や程度は個人差が大きいですが、日常生活に支障をきたすこともあります。
PMSはホルモンバランスの変化によって引き起こされるとされており、適切な対処をすることで症状を軽減できます。本記事では、PMSの原因や症状、診断方法、治療法、そして日常生活での改善策について詳しく解説します。
PMS(月経前症候群)の主な症状
PMSの症状は大きく分けて、身体的症状と精神的症状の2つに分類されます。
身体的症状
- 頭痛
- 乳房の張りや痛み
- 腹部の膨満感
- むくみ（特に手足や顔）
- 便秘や下痢
- 疲労感
- 眠気や不眠
- 体重増加（体内の水分量の変化による）
精神的症状
- イライラしやすい
- 抑うつ感や気分の落ち込み
- 集中力の低下
- 不安感が強くなる
- 泣きたくなる
- 怒りっぽくなる
- 社交的でなくなる
これらの症状は、生理が始まると自然に改善するのが特徴です。しかし、症状が重く、仕事や人間関係に影響を及ぼす場合は、医師の診断を受けることが重要です。
PMS(月経前症候群)の原因
PMSの明確な原因は完全には解明されていませんが、主に以下の3つの要因が関与していると考えられています。
ホルモンバランスの変化
生理前の黄体期には、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンのバランスが大きく変化します。これにより、脳内の神経伝達物質が影響を受け、気分や体調に変化が現れると考えられています。
神経伝達物質の変化
セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が影響を受けることで、気分の変動や抑うつ感、不安が強くなることがあります。
生活習慣やストレス
睡眠不足、不規則な食生活、過度なストレスなどがPMSの症状を悪化させることが知られています。特に、カフェインやアルコール、糖分の過剰摂取はPMSを悪化させる可能性があります。
（出典：公益社団法人日本産婦人科学会 月経前症候群（premenstrual syndrome : PMS））
PMS(月経前症候群)の診断方法
PMSの診断は、問診と症状の記録によって行われます。
問診
医師が症状の種類や持続期間について詳しく聞き取ります。
月経カレンダーの記録
症状が生理前に毎回起こるかどうかを確認するため、2〜3か月間記録をつけることが推奨されます。
PMDD（月経前不快気分障害）との鑑別
PMSの重症型であるPMDD（月経前不快気分障害）は、うつ病に似た強い抑うつ症状を伴うため、専門的な診断が必要です。
PMS(月経前症候群)の治療法
PMSの治療法は、大きく分けて薬物療法と非薬物療法の2つがあります。
薬物療法
- 低用量ピル（経口避妊薬）：ホルモンバランスを安定させ、PMSの症状を軽減する効果があります。
- 抗うつ薬（SSRI）：気分の変動が激しい場合、セロトニンの働きを助ける抗うつ薬が処方されることがあります。
- 鎮痛剤：頭痛や腹痛などの症状を緩和するために使用されます。
- 利尿剤：むくみが強い場合に処方されることがあります。
非薬物療法
薬に頼らず、生活習慣を整えることで心身の健康を維持する方法として、食事・運動・ストレス管理・睡眠が重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
バランスの取れた食事
特に ビタミンB6 や マグネシウム を含む食品は、神経伝達物質（セロトニンやドーパミン）の合成を助け、ストレスや不安の軽減に役立ちます。
ビタミンB6を多く含む食品
- 肉類（鶏ささみ、牛レバー、豚ヒレ肉）
- 魚類（マグロ、サーモン、イワシ）
- 野菜・果物（バナナ、にんにく、アボカド）
- 豆類（大豆、ひよこ豆、レンズ豆）
マグネシウムを多く含む食品
- ナッツ類（アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ）
- 海藻類（わかめ、ひじき、のり）
- 豆類・種子（かぼちゃの種、ひまわりの種）
- ダークチョコレート（カカオ70%以上）
ポイント
- カフェインやアルコールの摂取を控えめにし、バランスよく食べることが大切です。
- 甘いものの食べ過ぎは血糖値の乱高下を引き起こし、気分の不安定につながることもあるので、控えましょう。
適度な運動
軽い運動を習慣にすることで、ストレス軽減・睡眠の質向上・幸福感の向上 に繋がります。
おすすめの運動
- ウォーキング（1日30分程度） → 自然の中を歩くとリフレッシュ効果UP！
- ストレッチ・ヨガ → 副交感神経を刺激しリラックス効果◎
- 軽い筋トレ（スクワットや腕立て） → セロトニンの分泌を促す
- ダンスや水泳 → 音楽に合わせるとさらにリフレッシュ
ポイント
- 無理のない範囲で 毎日少しずつ継続 することが大切です。
- 日光を浴びながらの運動は、ビタミンDの生成を促し、気分を前向きにする効果もあります。
ストレス管理
ストレスを溜め込むと、自律神経のバランスが崩れ、心身に悪影響を及ぼします。ストレスをうまくコントロールすることが大切です。
おすすめのストレス対策
- ヨガやストレッチ → 呼吸を意識しながら行うと副交感神経が優位になりリラックス
- 瞑想・マインドフルネス → 「今、この瞬間」に集中することで不安を軽減
- アロマセラピー → ラベンダーやカモミールの香りで心を落ち着かせる
- 好きな趣味に没頭 → 音楽を聴く、読書、料理、絵を描くなどリラックスできる時間を作る
ポイント
- 深呼吸を意識する → 4秒かけて吸い、4秒止めて、8秒かけて吐く「4-4-8呼吸法」が効果的
- 仕事や家事の合間に こまめに休憩をとる ことで、ストレスを溜めにくくする
十分な睡眠
睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れやストレス耐性の低下を引き起こします。「質の良い睡眠」 をとることで、心身の健康を保つことができます。
良質な睡眠をとるためのポイント
- 寝る1時間前からスマホ・PCを見ない（ブルーライトは睡眠の質を低下させる）
- 寝る前に温かい飲み物（白湯・ハーブティー）を飲む
- 部屋を暗くして、温度・湿度を快適にする（室温18～22℃・湿度50～60%）
- リラックスできるルーティンを作る（ストレッチ・読書・アロマ）
- 朝起きたら日光を浴びる（体内時計をリセットし、スムーズに眠れるようになる）
ポイント
- 睡眠は 時間よりも「質」 が大切です。
- カフェインやアルコールの摂取は就寝3～4時間前までにする。
まとめ
PMSの症状は個人差が大きく、毎月の生活に影響を及ぼすこともあります。しかし、適切な治療と生活習慣の改善によって、症状を軽減し、より快適に過ごすことが可能です。
メンタルケア Lino clinic（リノクリニック）福岡天神院では、PMSに関する診療を行い、一人ひとりに合った治療方法を提案しています。当院は、赤坂駅・天神駅から徒歩圏内にあり、土日祝日も診療しているため、忙しい方でも通いやすい環境です。また、PMSの症状に対するカウンセリングも行っており、ホルモンバランスの調整やストレス管理について専門的なアドバイスを提供しています。
「生理前の不調を少しでも軽減したい」「自分に合った治療法を知りたい」とお考えの方は、ぜひLino clinicへご相談ください。
