PMDD(月経前不快気分障害) 2025/02/08

PMDD(月経前不快気分障害)とは?

PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)は、月経前に起こる重度の精神的・身体的症状を特徴とする疾患です。PMS(月経前症候群)と似ていますが、PMDD(月経前不快気分障害)はより深刻な影響を及ぼし、日常生活や仕事に支障をきたすほどの症状が現れます。

PMDDは単なる「生理前のイライラ」ではなく、精神疾患として正式に認められている病気です。そのため、適切な診断と治療が重要になります。

PMDD(月経前不快気分障害)の主な症状

PMDD(月経前不快気分障害:Premenstrual Dysphoric Disorder)は、PMS(月経前症候群)の中でも特に精神的な症状が重い状態を指します。
女性ホルモンの変化により心のバランスが大きく乱れ、うつ病や不安障害に似た深刻な症状が出ることが特徴です。

PMDDはPMSと比べて、日常生活・仕事・人間関係に大きな支障をきたすことが多く、医療機関での適切な対応が必要とされています。

精神的症状

PMDDの症状の中心は、情緒の不安定さや抑うつ感、怒りといった心の不調です。

※これらの症状は「性格」や「気の持ちよう」ではなく、月経周期に連動して起きる一時的な脳内の化学変化によるものです。

身体的症状

PMDDでもPMSと同様に、体にもさまざまな不調が現れます。

症状のタイミング:生理が始まると軽減または消失

PMDDの症状は、月経が始まる数日前〜直前に強く現れ、生理が始まると数日以内に自然と軽くなるのが特徴です。
この周期性のある症状パターンが、うつ病などの気分障害との大きな違いとなります。

PMDDは日常へ支障が出てしまうところがPMSと違う

PMSもPMDDも、生理前のホルモン変化により起きる症状ですが、PMDDは日常生活に深刻な支障をきたす状態です。
「怒りが止まらない」「死にたくなる」「人に当たってしまって自己嫌悪になる」――そんな症状に心当たりがある場合は、PMSではなくPMDDの可能性もあります。

PMDD(月経前不快気分障害)について相談してみる

PMDD(月経前不快気分障害)の原因とは?

PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSの重症型とも言われ、うつ病や不安障害のような強い精神的症状をともなう月経関連障害です。
その原因は一つではなく、ホルモン・脳内物質・遺伝・環境要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

ここでは、現在までにわかってきているPMDDの主な要因を、わかりやすく解説します。

1. ホルモンバランスの変化

女性ホルモンの急激な変動が、PMDDの引き金に

PMDDは、月経周期に伴うエストロゲンとプロゲステロンの大きな変動が、脳内の神経伝達物質に影響することで発症すると考えられています。

このようなホルモンと神経の連動した変化に、脳が過敏に反応してしまう人にPMDDが起こりやすいと考えられています。

2. セロトニンの機能低下

「幸せホルモン」の乱れが気分を不安定にする

セロトニンは、精神の安定・安心感・睡眠の質・痛みの緩和などに関わる重要な神経伝達物質です。

なぜセロトニンが重要か?

セロトニンは、「心を落ち着かせるブレーキ役」のような存在です。これがうまく働かないと、感情のコントロールが難しくなる=PMDDの主要な症状につながるのです。

3. 遺伝的要因

PMDDは“なりやすさ”を持つ体質があるとされる

PMDDには、遺伝的な背景が関与している可能性も指摘されています。

※ 体質による影響のため、「気の持ちよう」ではなく、医学的な反応の違いが原因と理解することが大切です。

4. ストレスや生活習慣の乱れ

毎日の積み重ねが、脳やホルモンに影響する

PMDDの症状は、ストレスや不規則な生活によって悪化することが知られています。

ストレスの影響

生活習慣の乱れ

PMDDの原因は「心の弱さ」ではない

PMDDは、月経周期という自然な身体のリズムに対する「脳の過敏な反応」が原因で起こる医学的な状態です。
原因の中心にはホルモン変化がありますが、それを受け取る脳や神経伝達物質のバランス、生活習慣、ストレスなど、さまざまな要因が重なり合っているのです。

「私の心が弱いせい」と思い詰める必要はまったくありません。
PMDDは正しく理解されるべき疾患であり、医師や専門家のサポートによって改善を目指すことができます。

PMDD(月経前不快気分障害)について相談してみる

自分でできるPMDD(月経前不快気分障害)のセルフケア

PMDD(月経前不快気分障害)は、生理前になると心が不安定になったり、生活に支障が出るほど気分が落ち込んだりする症状です。
「また来るかもしれない」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。

ただ、PMDDは“対処できる症状”です。
ここでは、自分でできるケアや生活の工夫をまとめました。無理のない範囲でできることから、少しずつ取り入れてみてください。

1. 生活リズムを整える

PMDDの症状は、自律神経やホルモンバランスの乱れが関係しているため、生活リズムを整えることで落ち着きやすくなります。

▶ 睡眠をしっかりとる

▶ 朝日を浴びる

2. 食生活の見直し

PMDDの症状には、脳の神経伝達物質の材料となる栄養素が関係しています。

▶ セロトニンを整える食材を意識

▶ 控えたいもの

3. 適度な運動を習慣にする

運動は、セロトニンやエンドルフィンといった“気分を安定させるホルモン”を分泌させる効果があります。

▶ 無理のない運動を毎日少しずつ

ポイントは“続けられるかどうか”。頑張りすぎないことが一番大切です。

4. ストレスをためない工夫

PMDDはストレスの影響を受けやすいため、こまめに心を緩める時間をつくることが大切です。

▶ おすすめのリラックス法

▶ 自分を責めない

5. 「つらさ」を記録する

完璧にコントロールできなくても大丈夫

PMDDは、月経周期に伴って心と体が繊細になる状態です。
完全に防ぐことは難しくても、「こうすれば少し楽になるかも」と感じられる工夫を取り入れることで、自分自身との付き合い方が変わっていきます。

つらい時は無理をせず、必要に応じて婦人科や心療内科に相談することも、大切なセルフケアの一つです。

PMDD(月経前不快気分障害)について相談してみる

PMDD(月経前不快気分障害)の診断

PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSの重症型とも言われる症状で、生理前に強いイライラや落ち込み、不安感などが現れる精神的な不調です。
日常生活に深刻な支障をきたすことも多いため、正しく診断し、適切な治療を受けることがとても大切です。

PMDDの診断方法

PMDDを診断する際は、「月経周期と症状の関連」があるかどうかを確認することが最大のポイントです。
そのうえで、他の精神疾患(うつ病・不安障害など)との区別をつけながら、専門的に判断します。

月経日記をつける

PMDDの診断に最も有効なのが、月経と症状を記録する「月経日記」です。

最低でも2〜3か月分を記録すると、「生理前に強く出て、生理開始後に軽減する」というPMDDのパターンを把握しやすくなります。

DSM-5に基づく診断

診断の基準は、アメリカ精神医学会の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」に基づいて行われます。

PMDDと診断されるための主な条件(抜粋)

※ これらが毎月繰り返されていることが前提となります。

他の精神疾患との区別(見分け)

PMDDと似た症状をもつ疾患として、うつ病・双極性障害・不安障害などがあります。

PMDD(月経前不快気分障害)について相談してみる

PMDDの治療方法

PMDDの治療には、薬物療法と非薬物療法(セルフケア・生活改善)を組み合わせることが効果的です。
症状の程度やライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら柔軟に取り入れていくのが基本です。

薬物療法(医療的アプローチ)

● 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

※ 通年で使用する場合と、「排卵後から生理開始までの時期」に限定して使用する場合があります。

● 経口避妊薬(低用量ピル)

● 鎮痛剤・抗不安薬

※ 薬の使用はあくまで医師の指導のもとで安全に行うことが大前提です。

非薬物療法(生活習慣の改善)

日常生活を見直すことで、PMDDの症状を和らげたり、出にくくしたりする効果が期待できます。

▶ バランスの取れた食事

これらはセロトニンの合成を助け、気分の安定を支える栄養素です。

▶ 適度な運動

▶ ストレス管理

▶ 質の良い睡眠

PMDDは「適切に診断・対応できる症状」

PMDDは「気のせい」でも「甘え」でもありません。
月経周期に連動して現れる、医学的に認められた精神的症状です。

「生理前になると心がつらくなる…」「人に言えないほど落ち込むことがある」――そんな思いを抱えている方は、ぜひ婦人科や心療内科に相談してみてください。

(出典:社会福祉法人恩賜財団済生会 月経前不快気分障害(PMDD)

まとめ

PMDD(月経前不快気分障害)は 「気のせい」ではなく、治療が可能な病気 です。毎月繰り返される症状に悩み、仕事や家庭生活に支障をきたしている方は、一人で抱え込まずに専門医に相談することが大切です。

「どうせ毎月のことだから」と我慢する必要はありません。
適切な治療を受けることで、生活の質(QOL)を改善し、より快適な日常を送ることができます。

Lino clinicでは

PMDD(月経前不快気分障害)による心身の不調でお悩みの方は、メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院 へご相談ください。

当院の特徴

PMDD(月経前不快気分障害)は適切な治療を受けることで、症状の軽減が期待できます。つらい月経前の症状に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

PMDD(月経前不快気分障害)について相談してみる

ご相談・お問い合わせ

診療内容についてのご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡下さいませ。
診療予約はお電話またはWEB予約にて承っております。

ご相談・お問い合わせはこちら