拒食症 2025/02/09

拒食症(神経性やせ症)とは?

拒食症(神経性やせ症、Anorexia Nervosa)は、摂食障害の一種であり、極端な食事制限や過度な運動により体重を著しく減少させる疾患です。主に若年女性に多く見られますが、性別や年齢を問わず発症する可能性があります。体重増加への強い恐怖や歪んだ自己認識が特徴であり、適切な治療を受けないと深刻な健康被害をもたらす可能性があります。

拒食症の主な症状

拒食症の症状は、身体的・精神的・行動的な側面に分けることができます。

身体的症状

精神的症状

極端な食事制限:摂取カロリーを極限まで抑える。

 

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拒食症の原因とは?

拒食症(神経性無食欲症)は、単なる「食べない病気」ではなく、心と体のバランスが深く関係する、非常に複雑な病気です。
原因は一つではなく、さまざまな要素が重なり合って発症すると考えられています。

心理的要因

拒食症を抱える方の多くは、自分に対する評価がとても厳しい傾向があります。

社会的要因

拒食症は、まわりからの影響を受けやすい病気でもあります。

生物学的要因

拒食症は心の病気でありながら、脳内の神経伝達物質やホルモンのバランスも関係しているといわれています。

これらは「気持ちの問題」と片づけられない、医学的な背景を持つ疾患であることを示しています。

拒食症は「がんばりすぎた心のサイン」

拒食症は、「自分を守るために、無意識に始まった行動」が、少しずつ日常を苦しめていく病気です。
原因が一つではないからこそ、治療やサポートにも時間がかかることがあります。

「ちゃんと食べなきゃ」と責めるのではなく、
「なぜ、食べられないのか」「何が苦しいのか」を一緒に考えることが、回復への第一歩です。

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拒食症の診断について

拒食症(神経性無食欲症)は、体重や食事への強いこだわり、体型へのゆがんだ認識、そして栄養不足による心身の不調が重なる病気です。見た目では判断しづらく、本人も「病気」とは気づいていないことが多いため、適切な診断がとても大切になります。

医師による問診

まずは、医師との対話による問診が行われます。ここでは以下のような点について丁寧に確認されます。

本人だけでなく、家族や周囲の人からの情報も参考にされることがあります。

DSM-5などの診断基準に基づく評価

拒食症の診断には、精神疾患の国際的な診断基準「DSM-5」が用いられます。以下の3つが主な診断基準です:

  1. 食事制限による著しい体重減少
    年齢や性別に見合った体重より明らかに低い状態が続いている
  2. 体重増加への強い恐怖
    痩せていてもなお「太りたくない」と強く思い、体重を増やさないような行動をとる
  3. 自分の体重・体型に対するゆがんだ認識
    実際には痩せているにもかかわらず、「自分は太っている」と思い込む

※これらの症状が一定期間以上持続している場合、拒食症と診断される可能性があります。

身体的な検査もあわせて行う

拒食症は見た目の変化だけでは判断できない病気です。そのため、医師は以下のような検査も組み合わせて、身体状態を確認します。

これらの検査を通じて、身体への負担がどの程度あるか、緊急性はないかも併せて確認されます。

受診のタイミングと大切な視点

拒食症は「もっと痩せないと」「私なんて大したことない」と、自分の状態を過小評価してしまうことがよくあります。
しかし、早期に気づき、適切な治療を始めることで、回復の可能性が大きく広がるのです。

そんなときは、一人で抱え込まず、心療内科や精神科、摂食障害に詳しい医療機関に相談することをおすすめします。

 

拒食症は、「食べられない自分が悪い」のではなく、心が限界を感じていることを、体が代わりに表現している状態かもしれません。
診断は、回復への第一歩。今の苦しさを軽くするために、どうか安心して受診を検討してください。

(出典:精神保健対策費補助金「摂食障害治療支援センター設置運営事業」摂食障害情報ポータルサイト 神経性やせ症

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拒食症の治療について

拒食症(神経性無食欲症)は、「食べないこと」だけが問題ではありません。
その背景には、強い不安や自分自身を責める気持ち、完璧でなければという思い込みがあることが少なくありません。

治療では、体を回復させるだけでなく、心の奥にあるつらさや思いにも丁寧に向き合うことが大切です。

治療の目的

拒食症の治療は次の3つの柱を中心に行われます。

  1. 身体的な健康を回復すること
  2. ゆがんだ食や体型への認識を整えること
  3. 心のストレスや葛藤に寄り添うこと

このため、医師・心理士・栄養士など多職種が連携した治療が行われるのが一般的です。

主な治療法

● 栄養指導と身体の回復

まずは、低栄養による危険な状態を改善することが最優先です。

体重の数字だけにとらわれず、「体力が戻ってきた」「眠れるようになった」などの変化を一緒に喜ぶ姿勢が大切です。

● 心理療法(カウンセリング)

拒食症の多くには、「心の奥にある苦しさ」が関係しています。

「話すことに慣れていない」という方も、無理のないペースで受けられるよう配慮されます。

● 薬物療法(必要な場合のみ)

基本的に、拒食症そのものを治す薬は存在しません。
ただし、強い不安感や抑うつ状態、強迫的な思考が強い場合には、症状をやわらげる補助的な薬が使われることがあります。

薬はあくまで「こころの状態を安定させるサポート」として使われるものであり、無理に使うことはありません。

● 家族支援と周囲の理解

拒食症は、本人だけでなく、家族や周囲の関わり方も回復のカギになります。

家族も「どう接すればいいかわからない」と悩みやすいため、支援を受けることは本人と家族双方の助けになります。

回復には「時間」と「安心」が必要です

拒食症は、「がんばればすぐ治る」病気ではありません。
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復していきます。

大切なのは、

「あなたはそのままで大丈夫」という安心感が、心と体を癒していきます。

拒食症の治療は、「食べさせること」ではなく、「心と体を同時に整えていくこと」です。
治療には時間がかかりますが、その先には「自由に食べられる日常」や「本当の自分を取り戻す」喜びが待っています。

もし今、「治療に踏み出すのが怖い」と感じている方がいれば、「話をすること」から始めてみませんか?

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まとめ

拒食症は、早期に専門的な治療を受けることで改善が可能です。治療には、心のケアを重視したアプローチが必要で、認知行動療法や家族療法が効果的とされています。回復には時間がかかることもありますが、適切なサポートを受けながら、少しずつ心身の健康を取り戻すことができます。

拒食症で休職を考えている方へ

毎日頑張りすぎていませんか?環境の変化や職場のストレスで心身が限界を感じているなら、無理をせず一度立ち止まることも大切です。拒食症は、無理を続けることで悪化し、長期の不調につながることもあります。

「心身ともに限界で、早急に休職したい…。」
「しっかり治して、また職場に戻りたい…。」

そんな思いを抱えている方が、安心して治療に専念できるよう、メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院では、休職や復職のために必要な診断書を、最短即日で発行できる体制を整えております。少しでも早く、心と体を休められるよう、お気軽にご相談ください。

※症状や診断の内容によっては、当日に診断書を発行できない場合があります。適切な診断を行うために、詳細な問診や追加の評価が必要になることがあるためです。あらかじめご了承ください。

メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院のご案内

拒食症は身体的・精神的な影響が大きいため、早期の治療が重要です。メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院では、患者様一人ひとりの状態に寄り添い、適切な診療を提供しています。

当院は 土日祝日も20時まで診療 しており、赤坂駅や天神駅から徒歩圏内 とアクセスしやすい環境です。仕事や学校で忙しい方も通いやすく、当日予約も可能 です。

拒食症やその他の心の悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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