社会不安障害 2025/01/28

社会不安障害(SAD)とは?

人前で話すときに手が震えたり、緊張して声が出なくなったりした経験はありませんか?いわゆる“あがり症”は、多くの人が一度は感じたことのあるものですが、それが日常生活に支障をきたすほど強く現れる場合、『社会不安障害(社交不安障害)』という病気の可能性があります。社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)は、他者に評価される場面や注目を浴びる状況で強い不安を感じる精神疾患です。単なる緊張とは異なり、症状が慢性的に続き、仕事や学校、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。この記事では、社会不安障害の特徴や原因、治療法についてわかりやすく解説していきます。

社会不安障害の主な症状

他人に注目される状況や評価される場面で、以下のような症状がでることがあります。

身体的症状

社会不安障害の典型的な身体反応として、心拍数が急激に増加することがあります。これは、人前に出ることで強い緊張やストレスを感じた際に、自律神経が過剰に反応するためです。

強い不安や緊張を感じる場面では、手足が震えることがあります。この震えは無意識に起こり、自分でコントロールするのが難しく、余計に不安感を高める要因となることがあります。

緊張が高まると汗が大量に出ることがあります。特に手のひらや額、背中などに発汗が集中し、これが周囲の人に見られることへの不安をさらに強めてしまう場合があります。

人前に出たり注目を浴びたりすると、顔が赤くなることがあります。これは不安や緊張が血流を促進するために起こる現象で、「見られている」という意識が強いほど顕著になることがあります。

強い緊張や不安は消化器官にも影響を及ぼします。吐き気や胃のむかつきといった症状が現れ、場合によっては食欲不振に陥ることもあります。これらは社会不安障害の特徴的な反応のひとつです。

精神的症状

行動面での症状

これらの症状が継続的に現れ、日常生活に支障をきたしている場合、社会不安障害の可能性があります。

社会不安障害の原因

社会不安障害の原因は複数の要因が絡み合っています。

遺伝的要因

社会不安障害は、家族内で発生しやすい傾向があり、遺伝的要因が関与していると考えられています。親や兄弟に同様の症状を持つ人がいる場合、発症リスクが高まることが報告されていますが、環境要因も影響を与えるとされています。

生物学的要因

社会不安障害の発症には、脳内の神経伝達物質のバランスが関与していると考えられています。特に、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が不足または過剰になると、不安や恐怖を感じやすくなり、社交場面での過度な緊張や回避行動につながることがあります。これにより、人との交流が困難になり、日常生活に支障をきたすこともあります。神経伝達物質のバランスを整えることが、治療の重要なポイントとされています。

環境的要因

子どもの頃のトラウマや虐待、批判的な家庭環境、過度なプレッシャーは、社会不安障害のリスクを高める要因とされています。特に、親や周囲から厳しく批判されたり、失敗を許されない環境で育った場合、自信を持ちにくくなり、人前での緊張や不安を感じやすくなります。また、幼少期に過度なプレッシャーを受けることで、「他人にどう思われるか」を過剰に気にするようになり、社交場面での強い不安や対人恐怖につながることがあります。これらの経験が積み重なることで、社会的状況を避ける傾向が強まり、社会不安障害の発症リスクが高まると考えられています。

心理的要因

自己評価の低さや完璧主義、過去の失敗経験が、社会不安障害の要因となることがあります。自分に自信が持てず、「失敗してはいけない」という強いプレッシャーを感じることで、人前での緊張や不安が増し、社交場面を避けるようになることがあります。

社会不安障害の治療法

社会不安障害の治療には、心理療法、薬物療法、またはその両方が用いられます。

心理療法

薬物療法

ライフスタイルの改善

(出典:厚生労働省 社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル

まとめ

社会不安障害は、他人の目を過度に気にし、社会的な場面で強い不安を感じる状態です。人前で話すことや集団に参加することに対して恐怖感や緊張感を抱き、日常生活に支障をきたすことがあります。しかし、適切な治療やサポートを受けることで、症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。認知行動療法や薬物療法など、個々の状態に合わせた治療を進めることで、少しずつ不安を克服できる道があります。

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