うつ病とは?
うつ病とは、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失が長期間続く精神疾患です。単なる一時的な気分の変化ではなく、日常生活や社会生活に大きな支障をもたらします。
うつ病の症状は、心理的なものだけでなく、身体的な症状も伴うことが特徴です。仕事や家事が手につかなくなるほどの倦怠感や、食欲不振、不眠などが続くこともあります。
うつ病の主な症状
精神的な症状
- 気分の落ち込みが続く
- 何をしても楽しくない(興味や喜びの喪失)
- 集中力が低下する
- 罪悪感や自己否定感が強くなる
- 将来への希望を失う
身体的な症状
- 食欲の増減(食べ過ぎ・食べられない)
- 体重の増減
- 不眠・過眠
- 慢性的な倦怠感
- 頭痛や肩こり、消化不良などの身体症状
うつ病の原因
うつ病は単一の原因ではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
心理的要因
強いストレス(職場、家庭、人間関係)
日常生活の中で職場や家庭、人間関係における強いストレスは、心身のバランスを崩す要因です。長期間続くと自律神経が乱れ、心身の不調やメンタルヘルスの問題を引き起こしやすくなります。適度なストレス発散や専門的なサポートを受けることが重要です。
過去のトラウマ
過去に経験した心的外傷(トラウマ)は、無意識のうちに心理状態に影響を及ぼすことがあります。特定の状況でフラッシュバックを起こしたり、強い不安や恐怖を感じることも。トラウマを適切に扱うには、カウンセリングや専門的な治療が有効です。
パーソナリティ(完璧主義、自己犠牲的など)
完璧主義や自己犠牲的な性格の人は、自分を厳しく追い込みやすく、ストレスや不安を抱え込みやすい傾向があります。他者の期待に応えようとしすぎると、自己肯定感が低下し、燃え尽き症候群やメンタル不調のリスクが高まることも。
生物学的要因
脳内神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン)のバランス異常
脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンのバランスが崩れると、気分の変動や意欲の低下、不安の増加が生じやすくなります。これらの神経伝達物質はストレスや生活習慣の影響を受けやすいため、適切なケアが必要です。
遺伝的要因
精神的な健康状態には遺伝的要因が関与すると考えられています。親や家族に特定の精神疾患の既往がある場合、同様の症状が出やすくなる傾向がありますが、環境や生活習慣によってリスクを軽減することも可能です。
ホルモンバランスの変化(特に女性)
女性は月経周期、妊娠、出産、更年期などのライフステージに応じてホルモンバランスが変化し、これが精神状態にも影響を及ぼします。特にエストロゲンやプロゲステロンの変動が、不安や抑うつの要因となることがあります。
環境要因
職場の過労やハラスメント
長時間労働や過度な業務負担、職場でのハラスメントは、強いストレスとなりメンタルヘルスの悪化を引き起こします。慢性的な疲労や精神的な負担が積み重なると、うつ症状や不安障害のリスクが高まるため、適切な対策が必要です。
季節の変化(季節性うつ病)
日照時間の減少や気温の変化は、体内リズムやホルモン分泌に影響を与えます。特に冬季はセロトニンの減少が抑うつ気分を引き起こすことがあり、これを「季節性うつ病」と呼びます。日光を浴びることや適度な運動が予防に効果的です。
ライフイベント(転職・結婚・出産・離婚・死別など)
人生の大きな変化は、ポジティブな出来事であってもストレスとなることがあります。環境の変化に適応する過程で心理的負担がかかり、うつ症状や不安を引き起こすことがあります。周囲のサポートを受けながら無理をせず調整することが大切です。
うつ病の診断基準
うつ病の診断は、医師がDSM-5(精神疾患の診断基準マニュアル)などを用いて行います。2週間以上、主要な症状(気分の落ち込み・興味の喪失)を含む5つ以上の症状が持続する場合、うつ病と診断される可能性があります。
うつ病の治療方法
うつ病の治療は、薬物療法・心理療法・生活習慣の改善の3つを中心に進められます。
薬物療法
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):セロトニンのバランスを整える
SSRIは脳内のセロトニン濃度を高めることで、気分の安定や不安の軽減に効果を発揮します。副作用が比較的少なく、現在広く使用されています。うつ病や不安障害、強迫性障害などに対して第一選択薬となることが多いです。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):エネルギーや集中力を改善
SNRIはセロトニンに加えてノルアドレナリンの再取り込みも阻害し、気分の安定だけでなくエネルギーや集中力の向上にも寄与します。SSRIよりも意欲向上効果が期待できるため、意欲低下が顕著なうつ病患者に適しています。
三環系抗うつ薬:古くからあるが、副作用がやや強い
三環系抗うつ薬は、うつ病治療に長年用いられてきた薬ですが、副作用が比較的強いため、現在はSSRIやSNRIが優先されることが多いです。ただし、難治性のうつ病や特定の症状には依然として有効とされ、慎重に使用されます。
非定型抗うつ薬:個々の症状に合わせて使用
非定型抗うつ薬は、従来の抗うつ薬とは異なる作用を持ち、個々の症状に応じて使い分けられます。例えば、眠気を引き起こしにくいものや食欲低下を防ぐものなど、患者の状態に合わせた処方が可能です。
心理療法
- 認知行動療法(CBT):考え方のクセを改善し、ストレスに対処する力を養う
- 対人関係療法(IPT):人間関係の問題に焦点を当てる
生活習慣の改善
- 十分な睡眠を確保する
- バランスの取れた食事を意識する
- 適度な運動(ウォーキングやストレッチなど)を取り入れる
- リラックスする時間を作る(趣味やマインドフルネス)
まとめ
うつ病は適切な治療を受けることで回復が可能な病気です。無理をせず、焦らず、自分を責めないことが大切です。家族や友人、医療機関のサポートを受けながら、少しずつ回復を目指しましょう。
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