中途覚醒, 睡眠障害(不眠症) 2025/09/11

不眠症の症状と原因|タイプ別の特徴と改善・治療法を解説

夜になっても眠れない、途中で何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまう…。
こうした「眠れない悩み」は一時的な寝不足ではなく、慢性的に続くと「不眠症」と呼ばれ、日常生活に大きな影響を及ぼします。

不眠症には「寝つけない」「夜中に目が覚める」「早朝に目覚める」「ぐっすり眠れない」といったタイプがあり、原因も人によって異なります。この記事では、不眠症の症状・原因・改善策をタイプ別にわかりやすく解説していきます。

不眠症とは?

不眠症とは、眠るための環境が整っているにもかかわらず、うまく眠れない状態が続き、その結果として日中の生活に支障をきたす病気 のことです。

「昨日はちょっと眠れなかった」という一時的な寝不足や生活リズムの乱れとは異なり、不眠症は慢性的に症状が続くのが特徴です。数日だけの不眠は誰にでも起こることがありますが、1か月以上続き、仕事や学業、生活の質に影響するようであれば「不眠症」として医療的な対応が必要になります。

不眠症と一時的な不眠の違い

不眠症の4つのタイプ

医学的には、不眠症は次のようにタイプ別に分類されます。

これらの症状は単独で現れる場合もあれば、複数が重なることもあります。

不眠症が与える影響

不眠症は「夜眠れない」だけでなく、日中の生活全般に影響を及ぼす病気 です。眠気や集中力の低下により仕事や勉強の効率が落ちるほか、気分の落ち込みが続くことでうつ病や不安障害の引き金になることもあります。さらに、慢性的な睡眠不足は高血圧や糖尿病、動脈硬化など生活習慣病のリスクを高めることも知られています。

不眠症の主な症状

不眠症といっても症状の出方は人によって異なります。医学的には大きく4つのタイプに分類され、それぞれに特徴があります。

① 入眠困難(なかなか寝つけない)

ベッドに入っても30分〜1時間以上眠れず、「寝なければ」と焦るほどさらに眠れなくなるタイプです。眠りにつけないことで睡眠時間が短くなり、翌日の強い眠気や集中力低下につながります。

② 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)

眠りについても夜中に何度も目が覚めてしまい、再び眠るのが難しくなるタイプです。浅い眠りが続くため、ぐっすり眠れた感覚が得られず、翌朝の疲労感が強く残ります。

③ 早朝覚醒(朝早くに目が覚める)

予定よりも2時間以上早く目が覚め、その後眠れなくなる状態です。特に高齢者や気分の落ち込みが強い方に多く見られます。睡眠時間が十分にとれないため、日中の活動に影響しやすくなります。

④ 熟眠障害(ぐっすり眠れない)

眠っている時間は確保できているのに「眠った気がしない」「疲れが取れない」と感じるタイプです。睡眠の質が悪く、頭がすっきりせず倦怠感が続くのが特徴です。

このように、不眠症は単なる「眠れない」ではなく、寝つけない・途中で起きる・早く目が覚める・眠った気がしない といった複数の症状として現れます。人によっては複数のタイプが重なって出ることもあり、その場合さらに生活への影響が大きくなります。

不眠症について相談してみる

不眠症のタイプ別の原因

不眠症の背景にはさまざまな要因があります。ここでは、症状のタイプごとに代表的な原因を整理してみましょう。

① 入眠困難(なかなか寝つけない)

特に「眠れないと困る」「早く寝なければ明日に響く」といった焦りやプレッシャーそのものが、かえって脳を興奮させてしまい、さらに寝つきを悪くする悪循環を招きやすいタイプです。

本来であれば眠ろうと力を抜くことで自然に眠りに入れますが、「眠れないことを意識する」こと自体が強い緊張となり、自律神経を乱し、余計に目がさえてしまいます。この状態が続くと、夜が近づくたびに不安を感じ、さらに眠れなくなるという悪循環が固定化されやすくなります。

② 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)

このタイプは加齢とともに増える傾向があります。年齢を重ねることで眠りが浅くなるのは自然な変化ですが、実際には睡眠時無呼吸症候群や前立腺肥大による頻尿、慢性の痛みなど病気が背景に隠れていることも少なくありません。そのため、単なる加齢現象と思い込まず、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。

③ 早朝覚醒(朝早くに目が覚める)

予定より早く目覚めてしまうだけでなく、その後眠れないため慢性的な睡眠不足が積み重なり、日中の疲労感や集中力の低下につながります。特に「気分の落ち込み」や意欲の低下と併せて見られる場合は、うつ病など心の病気が背景にある可能性もあるため注意が必要です。

④ 熟眠障害(ぐっすり眠れない)

眠っている時間は十分でも「ぐっすり眠れた感じがしない」「疲れが残る」と感じる場合、睡眠の質そのものが低下しているサインです。浅い眠りが続いていたり、睡眠中に無呼吸や体の動きが多いなど、知らないうちに休養が妨げられている可能性があります。

不眠症の原因は複雑に絡み合う

不眠症は「心理的要因」「身体的要因」「生活習慣」「環境要因」が複雑に関わって起こります。タイプ別に原因を整理することは、改善策を考えるうえでとても大切です。

不眠症のセルフチェック

「最近眠れないけど、これって不眠症なのかな?」と迷う方のために、簡単なセルフチェックを紹介します。当てはまる項目が多いほど、不眠症の可能性が高くなります。

不眠症セルフチェック項目

判定の目安

セルフチェックの活用方法

このチェックはあくまで目安であり、診断を確定するものではありません。もし当てはまる項目が多く、生活や仕事に支障を感じているなら、心療内科や精神科、睡眠外来で専門的な評価を受けることが大切です。

不眠症について相談してみる

不眠症の改善策

不眠症の改善には、まず 日常生活の工夫 が大切です。すぐに始められる具体的な方法を紹介します。

① 睡眠環境を整える

② 生活習慣を見直す

③ リラクゼーション法

④ 食事と栄養

眠りをサポートする栄養素を意識して取りましょう。

夕食は寝る3時間前までに済ませ、消化の良いものを選ぶとさらに快眠につながります。

不眠症について相談してみる

医療機関での治療

生活習慣の改善で眠りの質が上がることもありますが、それでも改善が見られない場合には医療機関での治療が必要になります。不眠症は「がまんして乗り切る」ものではなく、治療によって改善できる病気です。

① 薬物療法

医師の判断で睡眠薬や抗不安薬などが処方されることがあります。

※薬はあくまで補助的な手段であり、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。

② 認知行動療法(CBT-I)

近年、不眠症に対して効果が科学的に証明されている治療法です。

薬に頼らずに不眠を改善できる方法として注目されています。

③ カウンセリング

公認心理師や臨床心理士によるカウンセリングでは、ストレスや不安の背景を整理し、気持ちの負担を軽減するサポートが受けられます。

④ 治療の組み合わせ

不眠症は人によって原因やタイプが異なるため、薬物療法・心理療法・生活習慣改善を組み合わせることが効果的です。医師と一緒に自分に合った治療法を見つけていくことが、改善への近道となります。

不眠症について相談してみる

不眠症を放置するとどうなる?

「少しくらい眠れなくても大丈夫」と思って我慢している方は多いですが、不眠症を放置すると心身にさまざまな悪影響を及ぼします。

① 日中のパフォーマンス低下

眠気や集中力の低下により、仕事や勉強の効率が大きく落ちます。判断力や注意力も鈍くなり、ミスや事故のリスクが高まります。

② 精神的な不調の悪化

慢性的な不眠は、うつ病や不安障害などの発症リスクを高めます。

③ 身体的な健康への影響

不眠は自律神経やホルモンバランスを乱し、身体の健康にも直結します。

④ 生活の質(QOL)の低下

眠れないことで趣味や人付き合いを避けるようになり、生活の楽しみが減っていきます。心身ともに疲れがたまり、社会生活や家庭生活に支障をきたすこともあります。

このように、不眠症は「一晩眠れなかった」だけの問題ではなく、放置することで心と体の両方に悪影響が広がる病気 です。早めに原因を見つけ、適切な対処を行うことが大切です。

 

まとめ

不眠症は「ただ眠れない」という一時的な問題ではなく、心と体に影響を及ぼす病気 です。
主な症状には「寝つけない(入眠困難)」「夜中に目が覚める(中途覚醒)」「朝早くに目覚める(早朝覚醒)」「ぐっすり眠れない(熟眠障害)」の4タイプがあり、人によって現れ方が異なります。

原因にはストレスや不安といった心理的要因だけでなく、生活習慣や環境、身体的な病気、加齢などさまざまな要素が関わります。そのため、改善のためには 睡眠環境の工夫・生活習慣の見直し・リラクゼーション・栄養バランス といったセルフケアに加え、医療機関での治療が必要になることもあります。

放置すると、うつ病や生活習慣病など二次的なリスクを高め、日常生活の質を大きく下げてしまいます。
「眠れないこと」が続いていると感じたら、我慢せずに早めに相談することが大切です。

メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院のご案内

不眠症は「性格の問題」や「年齢のせい」と片づけてしまいがちですが、実際には治療や生活改善によって改善できる病気です。
眠れない日々が続くと心身に大きな負担がかかるため、早めの受診・相談が安心につながります。

メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院では、不眠症をはじめとする心の不調に対し、一人ひとりの症状に寄り添った診療を行っています。

当院の特徴:

不眠症や睡眠の悩みは、誰にでも起こり得るものです。
「最近眠れない」「日中に眠気や疲労感が続く」と感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。

不眠症について相談してみる

ご相談・お問い合わせ

診療内容についてのご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡下さいませ。
診療予約はお電話またはWEB予約にて承っております。

ご相談・お問い合わせはこちら