カウンセリング, 公認心理師, 臨床心理士 2025/09/15

公認心理師と臨床心理士の違いとは?資格・役割・選び方をわかりやすく解説

心の悩みや不安を相談したいと考えたとき、「公認心理師」と「臨床心理士」という言葉を目にする方は多いのではないでしょうか。どちらも心理支援の専門家ですが、国家資格と民間資格という違いがあり、資格取得のルートや歴史、活躍できる場も異なります。そのため、「どちらに相談すればよいのか分からない」と迷われる方も少なくありません。

本記事では、公認心理師と臨床心理士の特徴を整理しながら、両者の違いや共通点をわかりやすく解説します。また、実際にカウンセリングを受けるときに確認したいポイントや、資格の選び方の目安についても取り上げます。資格の違いを理解しておくことで、自分に合った心理士を見つけやすくなり、安心して相談を始めることができるでしょう。

なぜ「公認心理師と臨床心理士の違い」が注目されるのか

心理士の資格に関心が高まっている背景

近年、心の不調を抱えて医療機関やカウンセリングを利用する方が増えています。その中で「公認心理師」や「臨床心理士」という専門資格を耳にする機会も多くなりました。しかし、それぞれの資格には成り立ちや役割に違いがあるため、初めて相談を考える方にとっては「どちらに相談すればいいのだろう?」と迷いが生じやすい部分です。

公認心理師の誕生がもたらした変化

特に2017年に公認心理師が誕生したことは大きな転機となりました。心理職としては日本で初めての国家資格であり、医療や教育、福祉、司法、産業と幅広い分野での活躍が期待されています。

臨床心理士の長い歴史と実績

一方で、臨床心理士は1988年に始まった歴史ある民間資格であり、日本における心理支援の基盤を長年担ってきました。そのため、多くの現場で臨床心理士が信頼され、実績を積んできた背景があります。

二つの資格が並立することで生じる混乱

このように「新しい国家資格」と「長い歴史を持つ民間資格」という二つの資格が並立している状況が、一般の方に混乱をもたらしているのです。実際にカウンセリングを受けようとする患者様やご家族にとっては、資格の違いを理解しておくことが安心につながります。

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公認心理師とは

公認心理師は、2017年に誕生した日本初の心理職の国家資格です。制度化により、心理支援の専門性と社会的な信頼性が大きく高まりました。

日本初の心理職の国家資格

公認心理師は、2017年に誕生した日本で初めての心理職の国家資格です。これまで心理士の資格は民間資格が中心でしたが、心理支援を必要とする人の増加や、医療・教育・福祉など多様な分野での専門性の担保が求められたことから、国家資格として制度化されました。国の認定を受けているため、社会的な信頼性や認知度が高いのが特徴です。

資格取得の流れ

公認心理師になるためには、指定のカリキュラムを修了したうえで国家試験に合格する必要があります。基本的には、心理学系の大学・大学院で専門的な学びを積み、実習や現場経験を経て受験資格が得られます。試験では心理学の基礎から臨床的な支援技術、法律や倫理に関する幅広い知識が問われ、専門職としての総合力が求められます。

活躍できる分野

公認心理師は医療機関だけでなく、学校や企業、福祉施設、司法領域など幅広い場で活動できます。例えば、病院ではうつ病や不安障害などの治療に関わり、学校では生徒の相談や発達支援に携わります。また、企業ではメンタルヘルス対策や職場環境の改善、司法の分野では犯罪被害者や更生支援などにも関与します。多岐にわたる領域で活躍できるのは、公認心理師ならではの強みといえます。

国家資格ならではの安心感

心理士に相談する際、「国家資格であること」は多くの方にとって安心感につながる部分です。法律で定められた守秘義務があるため、安心して相談できる環境が整っている点も大きな魅力です。まだ新しい資格ではありますが、今後さらに活躍の場が広がっていくことが期待されています。

臨床心理士とは

臨床心理士は、日本で最も歴史があり広く知られる心理士資格です。詳しく解説していきます。

日本で最も広く知られる心理士資格

臨床心理士は、1988年に日本臨床心理士資格認定協会によって設けられた民間資格です。公認心理師が誕生するまでは、心理職といえば臨床心理士が代表的な資格として認知されてきました。医療、教育、福祉、司法など幅広い分野で活動しており、心理支援の専門職として長い歴史と実績を積み重ねてきた点が特徴です。

資格取得の流れ

臨床心理士になるには、指定された大学院で臨床心理学を専門的に学ぶ必要があります。修了後、臨床心理士資格試験に合格することで登録が認められます。試験では学術的な知識だけでなく、実習やケースワークを通じた実践力が重視されるため、高い専門性を備えた心理士が多いのも特徴です。

活躍できる分野

臨床心理士は、病院やクリニックでの心理面接、学校でのスクールカウンセリング、福祉施設や司法関連機関での心理支援など、多様な現場で活躍しています。特に医療・教育分野においては、長年にわたり心理支援を担ってきたことから、信頼度や実績が高い資格といえるでしょう。

更新制度による専門性の維持

臨床心理士には5年ごとの更新制度があり、継続的な研修や学会活動が求められます。この仕組みにより、常に最新の知識や技術を学び続ける姿勢が保たれ、臨床現場での専門性が維持されます。患者様にとっても「学び続ける心理士」であることは安心材料のひとつです。

歴史ある資格としての役割

臨床心理士は30年以上にわたり、日本の心理支援の中心を担ってきました。公認心理師が誕生した今でも、豊富な臨床経験を活かして現場で活躍する臨床心理士は数多く存在します。その歴史と実績は、心理支援の世界における大きな強みといえるでしょう。

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公認心理師と臨床心理士の主な違い【一覧表で比較】

項目 公認心理師 臨床心理士
資格の種類 国家資格(2017年に誕生) 民間資格(1988年に創設)
認定機関 厚生労働省・文部科学省 日本臨床心理士資格認定協会
資格取得ルート 大学・大学院で指定カリキュラム修了後、国家試験に合格 指定大学院修了後、臨床心理士資格試験に合格
活躍できる分野 医療、教育、司法、産業、福祉など幅広い 医療、教育、福祉、司法分野などで長年の実績
社会的信頼性 国家資格のため認知度・安心感が高い 歴史が長く、専門職として根強い信頼がある
更新制度 なし あり(5年ごと、研修や実績が必要)
特徴 日本初の心理職国家資格、今後さらに拡大が期待される 長い歴史を持ち、多くの臨床経験を積んだ心理士が多い

公認心理師は国家資格として制度上の信頼性が高く、今後活躍の場が広がると考えられます。一方で臨床心理士は歴史のある資格で、特に医療や教育の現場で長年積み重ねてきた実績が強みです。両者は対立するものではなく、それぞれの特長を活かしながら心理支援を行っています。

両方の資格を持つ心理士も多い

公認心理師と臨床心理士は、それぞれ異なる成り立ちと特徴を持っていますが、実際の現場では両方の資格を併せ持つ心理士も少なくありません。特に、公認心理師が2017年に誕生した際には、それまで臨床心理士として活動していた方が新たに国家試験を受験し、ダブルライセンスを取得する流れが多く見られました。

両方の資格を持つことにはいくつかの利点があります。まず、国家資格である公認心理師を取得することで、社会的な信頼性や制度上の裏付けを得られる点です。行政や医療機関などの公的な場面では、国家資格を持っていることが安心材料となります。一方で、臨床心理士は長年の研修制度や更新制度を通じて専門性を磨き続けているため、豊富な臨床経験と最新の知識を併せ持つことができます。

また、患者様にとっても「ダブルライセンスの心理士」という肩書は信頼感につながりやすいといえます。特に、どちらの資格に相談すべきか迷う方にとっては、両方の資格を持つ心理士であれば安心して相談できると感じやすいでしょう。

とはいえ、実際にカウンセリングや心理療法を受ける際には、資格の数だけで判断する必要はありません。大切なのは、心理士がどのような専門分野に強みを持ち、どのように患者様に寄り添ってくれるかという点です。両方の資格を持つ心理士が増えていることは、心理支援の幅を広げる大きな要素ですが、最終的には「自分に合った心理士を見つけること」が最も重要だといえるでしょう。

どっちを選べばいい?心理士に相談するときのポイント

公認心理師と臨床心理士、どちらも心理支援の専門家ですが、資格の違いを知っても「結局どちらに相談すればいいの?」と迷う方は少なくありません。選び方の目安として、いくつかのポイントを整理してみましょう。

国家資格の安心感を求めるなら公認心理師

法律で定められた国家資格である公認心理師は、制度的な信頼性が高く、医療や学校、行政機関など公的な場で活動している人が多いのが特徴です。「安心して相談できる制度的な裏付けがほしい」と感じる方には、公認心理師が適しているといえるでしょう。

長年の臨床経験を重視するなら臨床心理士

臨床心理士は30年以上の歴史があり、日本における心理支援を長く支えてきた存在です。更新制度により継続的に研鑽を積んでいる点も信頼につながります。「経験豊富で実績のある心理士に相談したい」という方には、臨床心理士を選ぶのが安心です。

実際は「資格より相性」が大切

資格ごとの特徴はあるものの、実際にカウンセリングを受ける上で最も大切なのは「自分に合う心理士かどうか」です。同じ資格を持っていても、得意とする心理療法やアプローチは心理士ごとに異なります。話しやすさや安心感を持てるかどうかも重要な判断基準となります。

両方の資格を持つ心理士なら安心感が高い

迷ったときには、両方の資格を持つ心理士に相談するのも一つの方法です。国家資格の安心感と、臨床心理士としての歴史や経験、その両方を兼ね備えているため、多角的な視点で支援を受けられるメリットがあります。

心理士を選ぶときは「資格の違いを理解する」ことと同時に、「自分に合った人を見つける」ことを大切にすると、安心して相談を始めやすくなるでしょう。

カウンセリングを受ける前に確認したいこと

心理士に相談しようと考えたとき、資格の違いを理解するのは大切ですが、それ以上に「実際にどのようなカウンセリングを受けられるのか」を事前に確認しておくことが安心につながります。ここでは、カウンセリングを始める前にチェックしておきたいポイントを整理しました。

心理士の資格や専門分野

まず確認したいのは、その心理士がどの資格を持ち、どの分野を専門にしているかです。公認心理師、臨床心理士のいずれであっても、得意とする領域は異なります。たとえば発達支援が得意な方もいれば、うつ病や不安障害などの治療に強い方もいます。自分の悩みと心理士の専門性が合っているかどうかは重要です。

カウンセリングの方法

心理士によって採用する心理療法やアプローチはさまざまです。代表的なものには認知行動療法、支持的カウンセリング、精神分析的アプローチなどがあります。事前にどのような方法を取り入れているのかを確認しておくと、安心してカウンセリングを受けられるでしょう。

通いやすさと環境

カウンセリングは一度で劇的に変化するものではなく、数回から数十回にわたり継続して取り組むことで少しずつ効果が表れるケースが多くあります。長く続けるためには、通いやすさも欠かせません。クリニックや相談室の立地、診療時間、予約のしやすさなどを確認することが大切です。また、院内の雰囲気やスタッフの対応も、安心感に直結します。

医療との連携の有無

心理士が医療機関に所属している場合、必要に応じて医師と連携して治療を進めることが可能です。症状によっては薬物療法と並行してカウンセリングを受けることで、より効果的なサポートが得られるケースもあります。

カウンセリングは「資格の違い」だけでなく、「自分にとって安心して続けられるか」が何より大切です。事前にしっかり確認しておくことで、無理なく相談を続けられる環境を整えることができるでしょう。

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公認心理師と臨床心理士によるカウンセリングでは何ができるのか

公認心理師と臨床心理士はいずれも心理支援の専門家ですが、カウンセリングの内容は大きく共通しています。どちらも悩みや不安を丁寧に聴き取り、心理学的な理論や技法を用いて心の整理や問題解決をサポートします。

公認心理師のカウンセリング

公認心理師は国家資格として、医療や教育、司法など幅広い領域で活動することが認められています。カウンセリングでは、心の問題を整理しつつ、医師や他の専門職と連携しながら支援できる点が強みです。例えば、病院に所属している場合は医師の診断に基づき、治療の一環として心理士面接を行い、症状の軽減や生活改善をサポートします。

臨床心理士のカウンセリング

臨床心理士は30年以上の歴史の中で、教育現場や福祉施設など幅広い現場で心理支援を行ってきました。カウンセリングでは、認知行動療法や来談者中心療法、プレイセラピーなど多様な心理療法を取り入れながら、悩みに応じた柔軟な支援を提供します。豊富な臨床経験を背景に、発達支援やトラウマケアなど専門性の高い分野にも対応しているのが特徴です。

共通してできること

つまり、公認心理師と臨床心理士のカウンセリングには大きな違いがあるわけではなく、どちらも専門的な知識と技術に基づいて患者様を支える存在です。資格ごとの特徴はありますが、実際には「自分が安心して話せるかどうか」が最も大切だといえるでしょう。

心理士に相談するメリット

心理士に相談することは、心の不調を抱えたときに大きな助けになります。医師の診察や薬物療法だけではカバーしきれない部分を補い、生活の中で抱える悩みや不安に寄り添いながら支えてくれるのが心理士の役割です。ここでは、その具体的なメリットを整理してみましょう。

第三者に安心して話せる

家族や友人には言いにくい悩みでも、心理士には守秘義務があるため安心して話すことができます。人に打ち明けることで気持ちが整理され、自分では気づかなかった考え方の癖や感情の背景に気づけることがあります。

心の整理と問題解決のサポート

心理士はただ話を聞くだけでなく、悩みの原因や背景を一緒に整理し、必要に応じて心理療法を用いて解決に向けたサポートを行います。例えば、認知行動療法では「考え方の癖」を見直すことで、不安や落ち込みを軽減する効果が期待できます。

心の病気の早期発見につながる

心理士と定期的に話すことで、心の不調が悪化する前に兆候を見つけられることもあります。必要な場合には医師への受診を勧めたり、治療とカウンセリングを並行して進めたりすることで、早期の回復を目指すことができます。

自分に合った 対処法を身につけられる

ストレスや不安と上手に付き合う方法は人それぞれ異なります。心理士との対話を通じて、自分に合ったストレス対処法を見つけられるのも大きなメリットです。

心理士への相談は「話すだけ」ではなく、安心して生活を続けるための支えになります。資格の違いにかかわらず、信頼できる心理士と出会うことは心の健康を守るための大切な一歩です。

カウンセリングを受けるまでの流れ

心理士によるカウンセリングは、誰でも自由にすぐ受けられるわけではありません。特に医療機関に所属する心理士の場合、医師の診察を受けたうえで「カウンセリングが必要」と判断されて初めて利用できる仕組みになっています。これは、症状や悩みの内容によっては薬物療法や生活指導が優先されることもあり、適切な治療を選ぶために必要な流れです。

1. 医師の診察を受ける

まずは医師の診察を受け、現在の症状や困っていることを共有します。医師は身体面や精神面の状態を確認し、診断や治療方針を検討します。

2. カウンセリングの必要性を判断

診察の結果、カウンセリングが有効だと考えられる場合、医師から心理士への依頼が行われます。このとき、どのような悩みを中心に取り組むのか、カウンセリングの目的が共有されます。

3. 心理士とのカウンセリング開始

医師の指示に基づいて心理士とのカウンセリングが始まります。回数や頻度は症状や目的によって異なり、継続して行うことで効果が期待できます。

このように、クリニックでのカウンセリングは「医師の診察を受け、必要と判断された場合に行う」という流れが基本です。そのため、まずは医師に現在の悩みや症状を正直に伝えることが、適切なサポートにつながる第一歩になります。

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カウンセリングの費用について

カウンセリングを受けようと考えたときに気になるのが費用です。医師の診察は健康保険が使える一方で、心理士によるカウンセリングは原則として保険の対象外であり、自費での利用が基本となります。ただし、受ける場所や制度によって金額は異なります。

医療機関でのカウンセリング

心療内科や精神科などに所属する心理士のカウンセリングは、医師の診察のうえで必要と判断された場合に行われます。この場合、診察や薬の処方には保険が適用されますが、心理士のカウンセリング部分は自費になります。料金は医療機関によって異なりますが、1回30〜60分で数千円から1万円前後が一般的です。

学校や自治体でのカウンセリング

小中高校に配置されているスクールカウンセラーや、自治体の相談窓口では無料、または非常に低料金で相談できる場合があります。費用を抑えつつ相談したい方にとって有効な選択肢となります。

民間のカウンセリングルーム

心理士が独立して運営する民間のカウンセリングルームでは、完全に自費での利用となります。費用の相場は1回50分あたり5,000〜10,000円程度で、心理士の経験や専門性によって変動します。

まとめ|自分に合った心理士を見つけよう

公認心理師と臨床心理士には、資格の種類や取得方法、歴史などに違いがあります。公認心理師は国家資格として制度的な信頼性が高く、医療や教育、司法など幅広い分野で活躍できる点が特徴です。一方で臨床心理士は30年以上の歴史を持ち、研修制度を通じて専門性を維持してきた実績があります。

しかし、実際にカウンセリングを受ける立場からすると、資格そのものよりも「自分に合った心理士かどうか」が最も大切です。同じ資格を持っていても、心理士によって得意な分野やアプローチは異なります。安心して話せるかどうか、継続して通いやすいかどうかといった要素が、心のケアを続ける上で大きなポイントになります。

また、クリニックでカウンセリングを受ける場合には、まず医師の診察を経て必要性が判断されます。カウンセリングは一度きりで終わるものではなく、継続して取り組むことで効果が現れるケースが多いため、通いやすい場所や料金体系を確認することも重要です。

Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院には、公認心理師と臨床心理士の両方の資格を持つ心理士が在籍しており、国家資格の安心感と長い歴史に基づく専門性を兼ね備えたサポートを受けることができます。資格の違いに惑わされず、自分に合った心理士と出会うことが、心の健康を守る第一歩になるでしょう。

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