過食症 2025/02/09

過食症とは?

過食症(神経性過食症、Bulimia Nervosa)は、摂食障害の一種で、大量の食事を短時間で摂取し、その後、過剰な運動や嘔吐、下剤の使用などで摂取カロリーを排出しようとする行動が特徴です。体重への過度なこだわりや自己評価の低さが関与し、心理的要因が大きく影響する病気です。適切な治療を受けないと、心身の健康を深刻に損なう可能性があります。

過食症の主な症状

過食症の症状は、身体的・精神的・行動的な側面に分けられます。

身体的症状

精神的症状

行動的症状

 

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過食症の原因とは?

「食べても食べても止まらない」「食べたあとに強い罪悪感に襲われる」――
このような状態が続く過食症(神経性過食症)は、意志の弱さや甘えではなく、心と体のバランスが崩れて起こる病気です。

過食症の原因はひとつではありません。さまざまな要因が複雑に絡み合って発症する、多因子的な病気であると考えられています。ここでは、主な3つの側面からその背景を見ていきます。

心理的要因:食べることで心をなだめようとする

社会的要因:見た目や理想に追い詰められて

生物学的要因:体のメカニズムの影響も

これらの生物学的な要因は、「気持ちの問題」だけでは説明できない、医学的に明らかな背景でもあります。

過食症は「苦しさを抱えた心のSOS」

過食症は、「食べ過ぎているだけ」の問題ではありません。
その背景には、つらさ、寂しさ、完璧でいなければならないというプレッシャー、見た目への強いこだわりなど、自分自身を守ろうとする心の叫びが隠れていることがあります。

原因が複雑だからこそ、回復にも時間と丁寧なケアが必要です。
まずは、「苦しい」と感じている自分に気づき、責めずに寄り添ってあげることが、第一歩になります。

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過食症のセルフケア

過食症は、「食べること」に心が振り回されてしまう病気です。
頭では「もうやめたい」と思っているのに、気づけばまた繰り返してしまう――。そんな自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

でもまずは、「コントロールしなきゃ」と思わないこと。
セルフケアの目的は、自分に罰を与えることではなく、「心と体を大切にする習慣をひとつずつ増やしていくこと」です。

「食べてしまった自分」を責めない

過食の後、強い自己嫌悪に陥ることはよくあります。
でもそれは、「つらい気持ちを抱えていた心」が食べることで安心を得ようとしただけかもしれません。

自己否定の悪循環を断つには、まず“受け止めること”から始めましょう。

過食の前に、少し立ち止まる習慣を

衝動的に食べたくなったとき、完全に止めるのは難しいかもしれません。
それでも、「その前に何があった?」と少し振り返る習慣を持ってみてください。

すぐに過食を防げなくても、気づけるようになること自体が、回復の大きな一歩です。

食事の時間を「敵」にしない

食べることに罪悪感を抱いていると、食事そのものがストレスになってしまいます。
少しでも「安心できる食事体験」を増やすために、できる範囲で工夫してみましょう。

食事は、本来“体をいたわる時間”です。少しずつ、心もそれを受け入れられるように整えていきましょう。

気持ちを食べ物以外で表現する

過食は、「言葉にできない気持ち」を食べることで発散しようとしていることがあります。
その気持ちを、ほかの方法でも外に出せるようになると、少しずつ変化が訪れます。

“感情を感じていい”という許可を、自分に出すことがセルフケアの一環です。

自分の「好き」「安心できること」を探す

過食がくり返されていると、「食べること以外に心が落ち着くことがない」と感じてしまうことがあります。
そんなときは、“食べる以外の安心できること”を一緒に育てていくのがセルフケアになります。

「これが好きかも」と思えるものを一つでも見つけられたら、それはとても大きな前進です。

セルフケアは「回復への小さな種」

過食症のセルフケアは、「治すために努力すること」ではなく、「自分にやさしくなること」です。

今日、過食してしまっても大丈夫。
そのあとに深呼吸して、「疲れてるんだね」と言ってあげられたら、それで十分です。

ゆっくりで、いいんです。
少しずつ、あなたの中に「安心の感覚」を育てていきましょう。

(出典:精神保健対策費補助金「摂食障害治療支援センター設置運営事業」摂食障害情報ポータルサイト 神経性過食症

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過食症の診断について

過食症(神経性過食症)は、単なる「食べ過ぎ」ではありません。
感情やストレスと深く結びついた“心の病気”であり、正確な診断と早期の対応がとても重要です。

診断は「DSM-5(精神疾患の診断基準)」に基づいて行われます

精神医学の分野では、アメリカ精神医学会が定めた「DSM-5」という国際的な診断基準に沿って、過食症の診断が行われます。
この基準により、以下のような特徴が見られる場合に過食症と判断されます。

【診断基準の主な内容】

  1. 短時間で大量の食べ物を摂取する過食エピソードが繰り返されている
    • 自分で「制御できない」と感じるほどの量を短時間に食べる
    • 隠れて食べる、食べたあとに強い罪悪感がある、なども特徴です
  2. 体重増加を避けるための代償行動がある
    • 嘔吐・下剤や利尿剤の乱用・過度な運動・絶食など
    • 食べたことを「なかったことにしたい」という心理が働きます
  3. 過食と代償行動が週に1回以上、3か月以上続いている
  4. 体型や体重への過度なこだわりが自己評価に強く影響している

これらの症状が複数重なっている場合、過食症の可能性があると判断されます。

その他の評価ポイント

早期診断の大切さ

過食症は、「気合で治る」ものではありません。
しかし、早い段階で診断され、適切な支援や治療を受けることによって、回復の可能性は十分にあります。

「自分はおかしいのかもしれない」「食べることが怖い」と感じたら、
一人で抱え込まずに、専門の医療機関に相談してみてください。

 

過食症の治療について

過食症(神経性過食症)は、心のつらさやストレスが「食べること」という行動に表れた病気です。
「ただの食べすぎ」と見過ごされやすいですが、専門的な治療を受けることで、少しずつ症状は改善していきます。

過食症の治療は、「食行動を止めさせる」ことが目的ではなく、
「なぜ過食が起きるのか」「その背景にある心の痛みに気づき、向き合うこと」が中心となります。

主な治療法

● 心理療法(カウンセリング)

▶ 認知行動療法(CBT)

過食症に対して最も効果が認められている治療法のひとつです。

自分の気持ちや行動に気づくことで、過食を“選ばない”選択肢が増えていくのが大きな特徴です。

● 栄養指導・食事の再構築

「食べること」が怖くなっていたり、極端な制限と反動の繰り返しがある方に対して、
栄養士など専門スタッフが「安心できる食べ方」を一緒に考えるサポートを行います。

「自分の体を守るために食べる」感覚を少しずつ取り戻すことを目指します。

● 薬物療法(必要に応じて)

過食症そのものを治す薬はありませんが、強い不安感・抑うつ・衝動性がある場合、
補助的に薬が処方されることがあります。

※薬物療法は、医師とよく相談しながら慎重に進める必要があります。

● 家族療法・周囲のサポート

過食症は、一人きりでの回復がとても難しい病気です。
だからこそ、家族や周囲の人の理解と支えが、回復の大きな力になります。

過食症の回復は「心をやわらかくする時間」

過食症の治療は、「頑張って治す」ものではありません。
むしろ、「頑張りすぎてきた心」を少しずつ休ませていくプロセスです。

症状に波があったり、途中でうまくいかないことがあっても大丈夫。
少しずつ、自分の心と体の声を聞きながら、回復に向けて歩んでいけます。

「つらかったね」と、自分に声をかけてあげること――それが治療の第一歩です。

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過食症の再発を防ぐための工夫

過食症の回復は、まっすぐ一直線ではありません。
調子が良くなったと思っても、ふとしたきっかけでまた過食の波がやってくることもあります。
でも、それは「失敗」ではなく、回復のプロセスの一部。その波にうまく対応できるようになることが、再発予防につながります。

ここでは、過食の再発を防ぐためにできる日々の工夫をご紹介します。

「調子がいいとき」こそ、自分をいたわる

調子がいいときほど、「もう大丈夫」と無理をしがちです。
でも、元気なときにこそ、疲れやストレスに気づきにくいもの。

食事の「ルール」を作りすぎない

回復の過程で、「〇〇を食べてはいけない」「夜は食べない方がいい」といった過度なルール作りをしてしまうことがあります。
でも、そういったルールは、反動での過食を引き起こすこともあります。

感情に気づく習慣を持つ

過食が起きやすいときは、「寂しい」「不安」「イライラ」などの感情がたまっていることが多いです。
だからこそ、感情に気づく・言葉にする習慣がとても大切です。

「食べたい=お腹がすいた」ではなく、「気持ちがしんどいのかもしれない」と気づくことが、過食へのブレーキになります。

信頼できる人とのつながりを持つ

一人で抱え込むことが続くと、どうしても過食に頼りやすくなります。
だからこそ、つながりが安心のクッションになります。

「再発=ダメなこと」と思わない

もしまた過食してしまったとしても、それは「また戻った」のではなく、「回復の途中で波が来ただけ」です。

再発の不安をゼロにするのは難しいかもしれません。
でも、再発してもまた立て直せる自分になっていくことが、真の回復につながります。

再発を防ぐのは「自分にやさしくなること」

再発を防ぐために大切なのは、頑張りすぎることではなく、「いまの自分に気づいて、いたわってあげること」です。
大丈夫、あなたにはすでに、「回復に向かう力」が備わっています。

もし不安になったときは、立ち止まり、深呼吸し、また歩き出せばいいのです。
ゆっくりでも、自分のリズムで。

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まとめ

過食症も早期の治療が重要で、心のケアや行動療法を通じて食事の摂取パターンを改善することができます。認知行動療法が有効で、感情をコントロールする方法や健全な食習慣を身につけることが回復への鍵です。自己管理と専門的な支援を受けながら、より健康的な生活に向かうことが可能です。

過食症で休職を考えている方へ

毎日頑張りすぎていませんか?環境の変化や職場のストレスで心身が限界を感じているなら、無理をせず一度立ち止まることも大切です。過食症は、無理を続けることで悪化し、長期の不調につながることもあります。

「心身ともに限界で、早急に休職したい…。」
「しっかり治して、また職場に戻りたい…。」

そんな思いを抱えている方が、安心して治療に専念できるよう、メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院では、休職や復職のために必要な診断書を、最短即日で発行できる体制を整えております。少しでも早く、心と体を休められるよう、お気軽にご相談ください。

※症状や診断の内容によっては、当日に診断書を発行できない場合があります。適切な診断を行うために、詳細な問診や追加の評価が必要になることがあるためです。あらかじめご了承ください。

メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院のご案内

過食症による心身の負担を軽減し、回復を目指すためには早期の治療が重要です。メンタルケア Lino clinic(リノクリニック)福岡天神院では、一人ひとりの症状に寄り添い、適切な診療を提供しています。

当院は 土日祝日も20時まで診療 しており、赤坂駅や天神駅から徒歩圏内 とアクセスしやすい環境です。仕事や学校で忙しい方も通いやすく、当日予約も可能 です。

過食症やその他の心の悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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